隔世の感

病で伏せっている間、なぜかこの本を読み返しました。


ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)


以前(最初に)読んだのは大学の時だったかな。当時はまったくピンと来ませんでしたが(性描写で多少興奮したぐらいで)、この年になって読み返すと、なぜだかジーンと来てしまいました。熱でセンシティブになっていたせいかもしれませんが。


村上春樹がこれを書いたのが38の時、ほぼ今のオレの歳です。やっぱ、年齢によって、ある年代をどう思い出すかって、違ってくるんでしょうね。「大学時代の思い出」も、20代と30代と40代と...では、違って見えてくる。もちろん個人差があるのは間違いないんですが、でも不思議と、この種の思い出って、かなり共通項がある気がします。「30代で思い出す大学時代の思い出」って、もちろんもう全然あのころには戻れない(当たり前ですが)んだけど、でもまだ完全に「今は昔」というほどでもない。特にオレみたいに、「家庭のお父さん」には収まってない人間からすると、完全な昔話でもないんですよ主観的には。そういう「大学時代の思い出」との距離感が、この小説と今のオレで、まさにシンクロしていたということなんでしょう。


しかしそれにもましてちょっと仰天したのは、たった30年前、大学生がこんなに暴れていた時代があったということ。いや今さらなんですが、それにしても、今の学生の去勢された羊のような(ちょっとヤな言い回しかもしれませんが、オレ的には褒め言葉です)姿を見ると、もうちょっと想像もつきません。いや、本気で、「あのころ大学生じゃなくてよかった」と、芯から思いますよ。何せオレ、究極の平和主義者なので、身体的暴力はもちろん、論争とか議論とかも、実は大の苦手なのです。