ダブル・バインド
先週末は就職関係のイベントの引率でした。
暇な時間に読んでいたのはこの本。
- 作者: 大沢仁,石渡嶺司
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/11/14
- メディア: 新書
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ふさわしい本だったかはわかりませんが。
就活って、ほとんど誰もがバカバカしいと思っているんですよ、たぶん。
大学教員にとっては、学生の勉強時間を奪う、憎っくき存在です。
学生にとっても、多くの労力を(多くの場合ムダに)使わねばなりません。
企業は……よくわかりませんが、「採用に多くの労力と資金をかける」のは、あんまり望ましい姿ではないでしょう。
ウハウハなのはリ○ルートに代表される就職業界だけ……かとおもいきやけっこうそうでもないんだよ、というのが、相変わらずバランスの良いこの著者の言い分。
こういうのを読むと、誰もが「なんかおかしいなあ」と思いつつもズルズルと泥沼に嵌っていってしまう、という、昨今の社会状況の縮図だなあ、と思わずにはいられません。
これ、日本社会の特徴なんでしょうか。戦争も、何となくズルズルと深みに…というのはちょっと与太話ですかね。
僕も教員の立場で言わせてもらうと、もちろん3年生が今ぐらいから授業に出なくなるのはいい気分はしません。しかし一方で、うちの大学の学生はほとんどが4年で学業を終えて就職しなければならないわけで(大学院に行くような学生はほとんどいないので)、「就職なんてあなたの都合でしょ。そんなの私の知ったことではありません」と冷たく突き放すこともできません(いや、できる、という方もおられるでしょうしその辺は議論の分かれるところだと思いますが)。
つまり、「企業は学生の勉強する権利を奪っている」と批判するのはもちろん正しいし僕もほとんど同意ですが、いっぽうで、特に就職担当教員として、「学生には少しでも良いところに就職して欲しい」という思いもあって、学生が「就活のため授業に出られません」というのを「そんなの知りません」とはねつけられないのです。
まったく「引き裂かれた自己」ですよ。まあ、根がいい加減なので、そんなに葛藤はないんですが。