バトンの受け渡し

「人間は、自分が誰かに教わったことしか人に教えられない」と何かで読んで、なるほどと思いました。
たとえば日本語。しゃべれるけど、じゃあ教えられるか、というと、無理ですもんね。訓練を積まないと。

で、最近持ってる授業で思うのですが。

自分自身はまったく習ってこなかったことを教えることが、多くなってきたんですよね。

最初の頃は、「卒論ゼミ」で思いました。オレらの時代、卒論の書き方を教えてくれる授業など、なかったじゃないですか。勝手に書けと放置されるだけ。それが普通でした。

ところが今の大学に赴任したら、「卒論ゼミ」という授業があるじゃないですか。なにやればいいのかと、最初は戸惑いました。

で、今現在は、初年次教育です。グループワークとか、アクティブラーニングとか。

当然、そんなの習ったこともありません。

ゆえに、完全に自己流。FDなんかの研修はあるといえばあります。が、そんなのを年に1回ぐらい受けたところで、できるようになるわけありません。もしかしたら当局は、「年数回の研修でできるのだ」と思ってるのかもしれませんが。

で、気がつくと、「自分が習ってないことを教える」比率が、どんどん高まっています。

世の中の刷新とはそんなもんだといわれそうですが、なんというか、自分自身の存在意義について、なかなか悩みますね。何かを一生懸命やってきた。じゃあそれを次世代に渡すかと思いきや、「それはいいからまた別なことを教えといて」といわれる。

とはいえ、「いやだ」といえば「じゃあ辞めろ」と返されるし。仕方ありません。