フィクションの効用

何度も書いてますが、去年の四月から、学部内で、人文系から国際系へと異動しました。

それまで、ほぼ一貫してフィクションが研究・教育のテーマでした。フィクションが題材、ということにわたし自身はもちろん、学生も疑いを持つことなどありませんでした。

ところが国際系。学生の志向は圧倒的にノンフィクションなんですよね。フィクションをテーマにするって、なにそれ?という学生さんが、ほとんど。「中国の◯◯」を研究するなら、実地調査やアンケート、あるいはせめて研究書であって、フィクションを使う意味がわからない、といった風。

それはよくわかります。その通りなのです。フィクションはあくまでフィクションであり、「誰々の小説にこう書いてあった、だからこうなのだ」という論拠はいかにも危うい。

小説を研究するというのは一体なにを研究することなんだろう、という疑問を改めて突きつけられたのでした。四月から国際系の第1期ゼミ生を持つことになりますが、さて、なにしようか。