富める者はますます

今はこの本を。


コミュニティー・キャピタル -- 中国・温州企業家ネットワークの繁栄と限界

コミュニティー・キャピタル -- 中国・温州企業家ネットワークの繁栄と限界


ここ最近でピカイチでした。素晴らしい。


この本にはいろんなポイントが含まれていますが、個人的に一番、かつしんどいなあと思ったのは、「マタイ効果」、すなわち「富める者はますます富み、奪われる者はますます奪われる」という現象。

これを多くの事例で実証しているわけですが、これ、なかなか辛いですよね。

同書の中で成功のポイントとして挙げられているのは、「ジャンプする人」、すなわち、要は、「いろんな人と積極的に交際していく」というものです。

この「才能」があれば、仮に学歴は低くても、成功を収められる。事例だと、温州企業家、むしろ学歴的には中国他地域出身の企業家に比べて、低い。大学どころか高校も、下手すりゃ中学小学もろくに出ていなかったりする。それでも、温州ネットワークと、そして交際という「才能」を活かし、事業を拡大し、大きな影響力を持つようになる。


しかしこの「コミュ力」(と卑小化して呼んでおきます)、まさに「才能」なんですよね。下手すりゃ「学力」より、よっぽど「才能」。

「温州出身である」という要素に加えて、「コミュ力がある」という「才能」がある者が、ますます富んでいく、というのは、なんというか、ちょっと虚しくなりますね。


もちろん成功の形はいろいろあるし、温州だって最強ではありません。とはいえ、「氏か育ちか」において「氏」が圧倒的に優位に働いている、という事例を見せつけられるのは、なかなかしんどいものがありました。