B級人間
昨日は撮り溜めてあった映画を片っ端から。9本ぐらいは見たかな。とはいえ全体量からすると焼け石に水ですし、またいうまでもなく全部2倍速で。
今授業でやっている(もうすぐ終わりますが)関係で、見たのはほとんどが香港とハリウッドのB級ホラー。
まあしかし改めて思いましたが、ここ何年か、好んでみるのはもっぱらこういうB級モノ・ハリウッド大作モノばかりなんですよね。しかもB級ものも、いわゆる「カルト的な人気を誇る」ようなモノではなく、たんなるB級。
B級モノと大作モノでは全然違うやん!と言われそうですが、オレの中では同じカテゴリーなんですよね。いっぽう対極として、何とか映画祭(メジャー・マイナー含めて)で何とか賞を取るような、芸術性の高いものがあります。
実は昔、むしろこの「何とか賞映画」ばかりを見ていた時期がありました。
今も昔も「映画研究をしている」などとは恥ずかしくて言えませんが、とはいえ「文化研究をしている」ぐらいは言えたらいいな、と思っているので、映画も恥ずかしくない程度には見ておこうと思って。
で、映画研究では、やはり「何とか賞映画」について語られることが多いわけです。このカメラワークが・この描写が、みたいな、高尚な議論。
さらに、そのカメラワークが絶賛された「何とか賞映画」を見ても、さっぱりわからん。つまらん。起承転結もないし、見終わった後の爽快感や感動もない。
でも、そういうのについていきたかったんですよね。分かりもしないのに蓮見重彦の本とか読んで分かった気になったり。「そのうちオレもこういうのが面白くなっていくだろう」という甘い期待にすがって、ひたすらつまらん映画を見続けました。
で、ある日突然、だったか徐々に、だったか忘れましたが、こういう所作がイタいものだ、ということに気づいたわけです。分からないものを分かった気になって、何が楽しいんだろう、と。
いうまでもなくこれは文化資本に関するブルデューの議論まんまですね。ブルデュー初めて読んだのはたしか自分のイタさが分かった後でしたが、「ああ、これ、昔のオレだよ…」と絶句したものでした。
まあ実際、うちは普通のサラリーマン家庭で、家には蔵書もとくになく、映画だって年に一、二度、ドラえもんを見に行く程度。という家庭に育って、大きくなって付け焼き刃でフェリーニ見たって、分かるわけありません。そうか、わからなくたって、いいんだ!
と、なんだか言い訳がましくなってきましたが、そんなこんなで、今後も、B級人間としての人生を、全うしていく所存です。