安心

今日は久々に時間ができたのでお家でのんびりこの本を。


KAGEROU

KAGEROU


年末の忘年会のビンゴの景品でもらったのでした。


面白いじゃないですか。今後日本を代表する名作として語り継がれるかというとさすがにNOでしょうが、なかなか楽しめました。最後がちょっと?でしたが。


この小説読んでいて思ったのは、安心感、でしょうか。
というのも、語りがすべて、時系列なんですね。主人公が見たこと・思ったことがそのままの順番で書かれている。すげー読みやすい。


というのも、いうまでもなく、最近の小説(などと偉そうに言えるほど読んでいるわけではないですが)は、ほとんどすべて、「さまざまな人の視点」とか、「順序を逆転」とか、その手の技法が満載なわけです。「倒錯」なんてことばも意味がなくなってしまうほど。(いろんな意味で)倒錯していない小説なんてほとんどないんだから。

で、これが読みづらいんですよ。最初の取っかかりがすごい面倒。わけがわかんなくて、最初で投げ出した小説も、数知れず、です。「オレはこんな技法も使えるんだ・知ってるんだ」という自慢合戦見せられているみたいで、「で、結局言いたいことはなんなのよ?」とイライラしてきます。


そこいくとこの小説、直球ストレート、という感じで、なかなか好感が持てます。「言いたいこと」も、ありきたりということばでは足りないほどにありきたりですが、まあ人間、結局そこだよな、とも思いますし。論文でも書くならともかく、楽しみのために読むなら、1Qなんとかよりずっと楽しめました。かなり本気で、次回作、読んでみたいかも。