映画化

しかし妻の病室、なんとも奇妙でして。

4人部屋なのに、それぞれのベッドの方々が、固くカーテンを閉ざして、全く表に出てこない。

一晩明かした妻に聞いても、「顔も見たことない」んだそうです。


よく、男女の「コミュニケーション力」の差の例として、「女性の病室はおしゃべりの場と化すが、男性病室はむっつりしている」みたいなこと、よくいわれます。

しかしこれはどうしたことじゃ?? 最近はプライバシーとか気にしだしているのか。今の病室ってみんなこうなのか。


……いやいや、3年前、カーチャンが肺ガンで入院した時の病室は、まあにぎやかなもんだったけどなあ。

同じような病気で、同じ時期に手術することになった、同じぐらいの年代の、4人のおばちゃんというかおばあちゃん。

やっぱり妙な連帯感みたいなのがあったんでしょうね。「もし手術で死ぬとして、死ぬ前に一番何がしたいか」について、夜が更けるまで話し込んだそうです。映画化決定だなこりゃ、と思った覚えがあります。とはいえ、話した中身は、「初恋の人と会いたい」みたいなろまんちっくなものじゃなくて、「家の物置の屋根が壊れているのが気がかりだ、あれを直さないと死んでも死にきれない」とかだったそうですが。


これは高知と宮城の差ですかねえ。んなわけないか。たまたま、でしょうね。だといいなあ。少なくとも、オレが入院したら、やっぱ同室の人とおしゃべりしたいもん。