文章力

先日、「愛想の良い悪いで、人生が違ってくる」と書きましたが、物書き商売の場合、「文章の上手い下手」でも、だいぶ変わってくるでしょうね。

今この本を読んでいるのですが、


恋愛結婚の成立―近世ヨーロッパにおける女性観の変容

恋愛結婚の成立―近世ヨーロッパにおける女性観の変容


内容も興味深いものですが、なんといっても文章が良い。穏やかな、上品な文章です。


このあたりは、評価の分かれるところかもしれません。僕は、著者があまり「オレがわたしが」としゃしゃり出たり自己主張することのない、無色透明な感じの文章が好きです。特に研究書の場合。じゃないと、文章が気になって、内容に集中できないのです。オレは「著者」の心象風景を知りたいんじゃなく、あくまで「内容」について知りたい。論文に定番の「私はなぜこのテーマに興味を持ったのか」なんてのも、ほとんどどーでもいい(といいつつ、先日書いた論文には思いっきりこれを載っけていますが。字数稼ぎで)。著者の個人データなど二の次三の次です。あくまでも内容。であるからして、あんまり我の強い文章だと、それだけで読む気が失せるんですね。


そこいくとこの本、あくまでも著者は一歩引いて、研究内容を淡々と伝えていくスタイル。もちろん、まったく逆の志向を持つ方もいると思いますが、僕的にはお手本にしたい文章です。