日本の幽霊

「ホラー映画の日中米比較」の授業、終了。

いや面白かったですマジで。学生さんたちに着想もたっぷりいただきました。今年中にちょっと軽い読み物を書かなくてはならないので、ここでのネタを使わせていただきます。


やっぱ日本人にとって、死はタブーなんだな、というのがよくわかりました。

日本のホラー映画の典型的ストーリーは、


「呪い」発生

なぜ襲われる(呪われる)のか分からず

原因を追い求める

原因判明

鎮魂


というものです。

それはいいとして、この鎮魂って、つまりは「死者を〈向こうの世界〉へ体よく送り返す」というか「追い払う」ということなんですね。「生者と死者が仲良く暮らす」中国ホラーの脳天気さはまったくなし。生者はひたすら「死者はあっちへいってくれ」と祈りを捧げ続けるのです。


日本ホラーにおいて死者は端的に災いであり、生者を困らせる存在です。まあだからこそホラーになるんでしょうが。一方中国ホラーのマヌケな幽霊描写を見ると、この国では死が身近で、生者同様腹を減らしたご先祖様がそこらをウロウロしていているみたいな「あの世観」なんですねたぶん。もし死者が災いでも起こそうもんなら、こっちはお供え物しない攻撃で対抗してやる!とかいう具合に、生者と死者は基本的には対等な存在。

かといってご先祖様などどうでもいいと思っているわけではなくむしろ逆。若者がお墓参りに行く割合は圧倒的に中国が高いでしょう。先日も「しゃべり場」ゼミでお墓参りの話になって、「オレ、もう何十年も行ってない」と言ったら中国人留学生にビックリされました。だって先祖なんてどーでもいいもん……


一方アメリカのモンスターは……これはまた今度。