趣味は読書。

チベットで何を悟ったかはまたおいおい。


ここんとこ、恩田陸さんの小説を発作的に読み続けております。


僕は「文学研究者」の片隅にでも腰をかけているもののなかでは驚異的に小説を読まない人間なので、いい加減な読書記ですしこの程度ならもう誰か言ってそうですが、いちおう。


彼女の小説って、「へたうま」なんですよね。


主人公にしても設定にしても会話にしても、とにかくウソっぽい。


「女性だから男性心理が分からない」とか、あるいは(詳しくないですが)少女漫画に出てくる男子学生とか、そういうレベルではない。


登場人物には「誰にも言えない秘密」がある場合が多いのですが、それも大変陳腐。「あーあ、おれにも、腹違いの妹とかいないかな」「あーあ、おれにも、「誰にも言えない秘密」、ないかな」とか誰もが一度は思ったことがあるであろう、そのレベルを一歩も出ていないのです。


「小説の書き方専門学校」があったとして、その中の優秀賞に選ばれそうな、そんな感じ。



……でも癖になるんですね。不思議。


思うのは、この「へたうま」は、わざとなのか、と。


CMなんかでも、ただ好感度の高いものより、多少不快感を伴うものの方が印象に残る、とはよく言われております。


彼女の小説って、そうなのかも。彼女自身、「いかにもありそうな設定」「生き生きとした会話」みたいなのを、すでに諦めている(というか最初からそんなものに興味がない)のかも。


今のところのベストワンは、これ。


ネバーランド (集英社文庫)

ネバーランド (集英社文庫)


うそ臭さ全開です。高校生時代を思い出してホロリとくる、的な小説でもありません。でも、なんか印象に残るんですよね。