情報発信

http://d.hatena.ne.jp/fuku33/20070324/1174726005

に関連して。ちなみにブクマでは「高校まで」とサバを読んでいましたが、恥ずかしながら「つい最近まで」といってもいいかもしれません。


先日香港大学図書館でヒマだった時、中学・高校時代の知り合いの名前を片っ端から検索してみたのですが、ほとんど1件も引っかかりませんでした。

いっぽう、僕の名前は、十数件は引っかかります。


これは別に自慢したいわけでもなんでもなく、つまり、(特に実名での)情報発信というのは、社会のほんの一部の層に限られている、ということです。つまりは、いわゆる、研究者、あるいはマスコミ、程度に。


僕みたいな3流研究者ですら十数件はヒットするいっぽう、僕よりずっと仕事もし、金も稼ぎ、モノも作っている人たちが、自分たちの経験や仕事内容を世の中に紹介する機会というのは、非常に限られているんだなあ、と、思い当たった次第なのです。


考えてみれば、学生時代(特に高校ぐらいまで)に「読んだもの」といえば、教科書と、あとはせいぜい新聞でしょう。この二つが圧倒的。教科書は福耳さんがおっしゃるとおり「企業といえば公害とか独占とか搾取とか」だし、新聞も、経済欄はともかく(ここは昔も今も、実はほとんど読んでおりません)、社会面はというと、「ワーキングプア」とか「使い捨てられるパート」とか「サビ残のサラリーマン」とか、そういうネガティブなイメージのものが多くを占めています。

これでは、僕が「企業の活動って、基本的に“悪い”ものなんだ」と思っていたのも無理はありません(と正当化)。


これはやはり、情報発信が研究者・教員・マスコミに限られているからでしょう。彼らが、企業活動のネガティブ面をほじくり出すのは、まあ習性かもしれません。例えば研究者・教員は、別に左翼でなくても、彼らはいわゆる「企業人」ではありません。そして、それ自体はなんの恥ずべきことでもないはずなのに、「民間企業」というのに、ある種のコンプレックスを抱いている場合が少なくない。「先生っていうのは世間知らず」「社会経験がない」という物言いをされると、なんともいえずいや〜な気分になるものです(少なくとも、僕は)。だから、ついつい、民間企業に対し、反発する態度を取ってしまいがちになるんでしょうかね。

マスコミはよく分かりません。社会面は左寄りとかあるんでしょうか。あるいは新聞によっても違うのか。


まあだから解決策としては、研究者・教員・マスコミの側に善処を求めるよりは、民間で物作りをやっているような人にもっともっと情報発信をしてもらう、というほうが現実的な気がします。例えば、なんか陳腐な感じですが、お父さんお母さんが、子供に、自分の仕事について、もっともっと話してあげる、とか。


そういえば、うちの親父は中堅ゼネコン勤務の、ごくごく平凡なサラリーマンでしたが、その仕事について話してもらったという記憶って、ほとんどないんですよね。親父の印象といえば、酔っぱらって帰ってきて母親(←小学教師)とケンカしてるとか、たまに早く帰ってくると寝っ転がってナイター見てるとか、その程度。休みの日はたいてい一日中パチンコに行ってたし。もし子供の頃、酔っぱらってでもいいから、「オレの会社は今こんなでっかい仕事してるんだぞ」と自慢してもらったりとか、あるいは現場に連れて行ってもらったりとか、そういう経験がもしあったら、僕の人生も違ったものになっていたかもしれません。良い方にか、悪い方にかはともかく。