自己否定

http://d.hatena.ne.jp/dice-x/20061105#p1


大学教員としてはまったく同意です。が。


喩えとして適当かどうか自信がなく、かつ広告や経営には素人なので根本的に間違っているかもですが、ビール。


味音痴な僕は、ビールも、発泡酒も、第3のビールとやらも、ほとんど同じに感じます。さすがにビールと発泡酒のあいだの差異は否定できませんが、ビール同士、発泡酒同士、発泡酒第3のビール、では、どれを飲んでも同じ。とくに、毎年飽きもせず新製品が出される発泡酒の味の違いなど、同時に飲み比べれば分かるかもしれませんが、まあ大差なしです。

ビール会社に勤務している方には怒られるかもしれませんが、中身はまったく同じで、「新製品です!!」と宣伝されても、「あれ? この味、以前出してた○○と、同じじゃないか??」と気付くのは難しいと思います。


なので、スーパーに行ってどのビールを買おうか、という時には、「あ、この発泡酒、CMの女優さんの飲みっぷりがかわいかったな」とか、「あ、このビール、宣伝しているお笑いタレントが美味そうに飲んでたな」とか、そういう理由で決める場合がほとんどです。


となると、もしぼくがビール会社の経営者側だった場合、開発にカネをつかい、細か〜な味の違いを追求させるより、中身はそれなりで、そのカネを宣伝につかう方が、いいんじゃないか??どうせ消費者のほとんどは、味で選んでなんかいないし、そもそも違いの分かる消費者などごく少数だし。

と考える可能性は、十分です。


大学もそうじゃないでしょうか(大学とビールを同一視する強引さに我ながら唖然としますが)。


大学においては、お客さまのほとんどは、哀しいことですが、今のところ、「学ぶ内容」、あるいは、仮に学びたい分野があったとしても、その分野でどの研究者がどの程度有能なのか、までは、考慮に入れない場合がほとんどです。もちろん、「エジプト考古学のY先生に習いたいから、W大学を受験する」という生徒さんもいるのは間違いないでしょうが、数が少ないばかりか、習いたいという教授も、普段テレビによく出ているとか、そういう知名度で選ぶ場合がほとんどでしょう。僕自身の受験経験を考えても、「入りたい大学よりは、入れる(中で一番偏差値・知名度の高い)大学」を受験するのが一般的です。


しかも、大学(に限らず各レベルの学校)の場合は、ほとんどのお客さんが、人生の中で、一つの大学にしか入りません。W大とK大に入り比べてみたけど、やっぱりW大の方が満足度は高かった、というケースは、ほとんど想定されません。お客さんはみんな、ある一つの大学に入って、「大学って、こんなもんなんだな」と思いを抱きつつ、卒業していくのです。言葉は悪いですが、「入れてしまえばこっちのもの」。


となると、大学経営者側が、教員にカネや時間を配分して研究や教育を頑張ってもらうよりは、なにか強烈なPR(になると思うもの)を売りにしつつ、広報・セールスに金や力をかけた方がいい、と考えるのは、無理のないことなのかなあ、という気がしています。特に人文系分野では。


なんか自分の存在を否定するようなエントリですが。