彼らはどこにいる?

 この前も書いたように、僕の周りには「ネットウヨやってます」という人が(多分)いないので、彼らがどういう人たちなのか、どうにも顔が見えないものがあります。


 「ネットウヨ」というくらいですから、常時ネットを見れる環境にある人たちであるのは確かでしょうが、しかしこれって、一般に思われているよりも少ない。各種調査だと、20代以下、特に大学生ではほとんどがネットしているという回答が出るでしょうが、これはたぶん、「学校のメディアセンターで見る」ということであり、家にネットを引いているかというと、その率はガクンと下がると思います。


 とくに人文系。僕自身人文系なのでよく分かりますが、「メルアドを教えて」というと、そうですねえ8〜9割は携帯メールです。で、「あれ、パソコンのメールはないの?」と聞くと、「いや、使ってません」とか「家には引いていません」と答える。うちの大学では、1年生に強制的にパソコンを買わせ、ついでにメルアドも押しつけられるんですが、これを常時使っているという学生は、本当に数%。家でネットが使える、という学生は、たいてい自宅生で、家族で一緒に使っている、というパターンです。
(なので、学生にパソコンメールで連絡しても梨の礫で、会った時に聞くと「ああパソコンメールはほとんど見てないんです」という答えが返ってきちゃう)

 なので、パソコン使って情報検索してこい、といっても、「メディアセンターがいっぱいでパソコン空いてませんでした」とか言われておしまい。今の世の中、本を買わないのは分かるけど、ネットぐらい家で使えないとヤバいんじゃない?と思うのですが、まあこんな感じです。
【付記】もし学生さんがこれを見ていたら、悪いことは言わない、ネットぐらいは家に引いておいた方がいいですよ。


 なのでいうまでもなく、普段から2ch見てます、という学生もほとんど皆無(もしくは恥ずかしくて言わない、のかもしれませんが)。聞いてみても、「1回見たけど、怖くてやめました」という意見が多い。まあ確かに怖いですよね。


 あと、これはある方のブログのコメント欄で書いたことともかぶるし、また現に僕の学生である方にはやや厳しい言い方かもしれませんが、そもそも、「ネットウヨをやれるほどの知識を持っていない」学生が多い。「ミギ?ヒダリ?ナニソレ?」というふうに。だからこそ、そういう「過去や事情を知らない若者」は、素朴な感情として、「中国や韓国の人たちと、仲良くしましょ」という気持ちを表明する(一方で、「知れば知るほど、ムカツク」というのもあったりするわけですが)。

「無知な友好か、(多少は)知識のある対立か」というのは、もちろん教育の場にいる以上前者の選択は有り得ないのですが、しかし「寝た子を起こしていいものか」、結構クヨクヨと悩むところではあります。


 こういう学生は、ネットも見ないし、ウヨも知らない、当然ネットウヨなんて違う星の出来事です(どっかのウチダ先生が、自分のゼミに、フェミニズムを知っている学生がほとんどいない、という衝撃的?なデータを出されましたが、それでいったら、うちの学生には、ネットウヨという言葉を知っている学生などほとんどいません)。いずれにせよ、少なくとも、ネットウヨは、「地方国立の人文系」にはいない、ということが分かりました。


【追加】
とはいうものの、例えば「南京大虐殺はウソ、むしろ人口が増えた」とかいう「事実誤認」というか「歪曲」であれば、それに反論することも可能ですが、事実をすべて認めた上での(もしくは事実に触れない上での)「愛国心」に関しては、それが間違っているとかダメだというのは、これまた難しいというか無理ですよね。「愛国心の強制」はおかしいですが、「非愛国心の強制」もおかしい。
なんか、ここの部分を何度もぐるぐる回っている気がしますが……