日本が好きで好きでたまらない。
まず初めに言っておくと、僕は心情的には、愛国心教育みたいなのには虫酸が走ります。しかもそれを、山奥に引っ込んだ解脱したお坊さんとかそういうのが語るならまだしも、欲の皮が張りに張った、欲望の権化の政治家どもが偉そうに「最近の若者が悪くなっているのは、愛国心がないからだ！」とか語るのには、まあ呆れてものが言えません。いや、欲の皮が張るのは、まあいいんです。でも、だったら、愛国心がどーとか、道徳がこーとか言うな、っちゅうんです。こりゃどう見てもネガティブキャンペーン、「愛国心なんて言っていると、こういうオジサンたちみたいに、性根の腐った人たちになってしまいますよ」というメッセージを伝えている、としかとれません。
というのは前提として、では、そういうのをやめさせる理屈というと、ちょっと難しいんじゃないか、と思うんですよね。まあ普通思いつくのは、「国家なんて、せいぜい１００年ちょっと前にできた概念に過ぎない」とかいうものでしょう。これについて、つまり、「国家なんて、物語に過ぎない」なんてのは、今どき、ウヨクどころか小学生でも知ってることです（オーバー？）。ナショナリズムなんて不自然なものなんだ、そんな、地図上に恣意的に書き込まれた線に頼るんじゃなく、もっと自然に生きよう、みたいな。
でも、じゃあ、「国家なんて物語だ」というのを教えた方がいいか、「国家がない」のが自然な姿か、というと、ちょっと「？」ですよね。なんというか、説明しづらいのですが、「どっちが自然か」というか「どっちが古いか」（逆に言うと、「今ある概念が、いかに後から作られたものか」みたいな、カルスタ系）みたいな理屈って、そんなに有効だろうか、と。これは、「恋愛という観念はいつから始まり……」とか、そういうのを見ていていつも思います。いや、研究だったら「へー面白いねえ」ですみますが、それを教育する、となると、どうも分からなくなってしまうのです。
つまり、「国家は大事だ、愛国心を持て」という教育と、「国家なんて幻だ、国みたいなしがらみはなるべく捨てろ」という教育と、この二つは、所詮は裏表、「どっちもどっち」なんじゃないか、後はそれぞれ個人個人の、巨人が好きか阪神が好きか、みたいに、完全に恣意的な好き嫌いに委ねられる、と思うのです。
もちろん、もう一つの道として、「国家がどうこうなんて、教えない」あるいは「教えたとしても、事実のみを教え、だからどうすべき、までは踏み込まない」というのがあります。まあこれが無難でしょう。ただこれはあくまで「無難」なんですよね。「鎌倉幕府って、１１９２年にできたんだって」「へー」というのと同じく、「国家って、百何十年前にできた概念なんだって」「へー」ですませてしまっていいのか。
なんとなく、すませたくはないんですが。
【追加】
上で書いたことは何がなんだか分からなかったでしょうが、書いた本人も分かりませんでした。生協で「韓国風すき焼き」を食いながら、ちょっと整理。
「愛国心！」も、「反愛国心！」も、「説教（→心の教育）」という点では、ほとんど同じなのです。「いや、国家というのは人為的に作られた概念で……」とか、学問レベルではそうかも知れませんが、教育実践レベルではほとんど同一。学生にすれば、「愛国心を持て！」も、「愛国心を持つな！」も、どっちも「うぜー説教」という点ではなんの差もないでしょう。
で、対処法としては、「教育では説教などしない」というのがあるにはあります。「国家みたいな問題は、スルー」あるいは「年号や事実だけ教える」とか。現に、今まではそうでした。
で、「今まで通りでいいんでしょうか？」という問題なのですが……
いいんでしょうか、ねえ。
【追加２】
思うに、お説教って、聞かされるのは死ぬほどイヤでも、するのは大好き、という人が多いんじゃないでしょうかね。愛国心教育云々と言っているオジサンどもには、一度、「自分が、どっかのオジサンに、同じような説教を聞かされる」ことを想像して欲しいものです。
が、想像できないから、こんなこと言っているんでしょう。
【追加３】
今年の初級中国語で、「f o」の発音をやったら、クスクスと笑いが。
ああ、そういうことね。
【追加４】
で、愛国心に戻って、反対派、なぜ愛国心教育はダメか、って、どういう理屈がありますかね。
１．やってもムダ。
２．軍国主義に通じるので危険。
３．教育は「どう考えろ」とまで踏み込むべきではない。
このへんでしょうか。でも、「１」ってどうもねえ。ムダというなら「学校教育の７０％はムダでできております」（たぶん）。「２」は、「国を愛するなら、戦争は絶対にしてはいけません」という方向なら、愛国心教育はアリか、となります（アリならいいんですが）。「３」は、でもそれでは、「自発的な愛国心」とか、「自発的な反中・反韓感情」みたいなのはＯＫとするしかありません（ＯＫなら、これもいいんですが）。
僕の思考はここで限界。
