文学屋3

 しつこく文学屋について。

 文学の研究しています、と自己紹介すると、もし相手が小説好きな方だと、かなりの確率でこういう会話が交わされることになります。


「ほうそうですか、じゃあ○○さんの××って読まれました?彼の書くもの、面白いですよねえ」
「いや、読んでません」
「ふ〜ん、じゃあ△△さんの□□は?あれも、面白いですよねえ、あれこそ文学!という感じで」
「いや、読んでません」
「あ、そうなの……」
「……」


もう慣れましたが、最初のころはけっこう辛かった。自分でも、「コレってけっこうヤバいことかも」と感じて、その○○さんの××や△△さんの□□を借りに図書館に直行したことも、何度かあります。

 いや、これはまあもっともな反応なんだと思います今でも。僕も、「小説など読まなくてもいいんだ」などと考えているわけではありません。それこそ、古今東西の名作を読了してみたい、と常々思っています。

 これは老後の楽しみに取っておきます。

【追記】
そうそう、もう一つの反応として、文学部にいます、というと、「じゃあ小説を書いているんですか」という、じつはかなりトンチンカンな質問をされることもたま〜にあります。まあ今では、『唯野教授』の時のように、「小説を書いているのが発覚したら、仲間はずれにされたり、昇任で不利になる」なんてことはないでしょうけど。むしろ逆かも。