やっぱりね

 センター試験ヒアリングが終了。

 こないだも書いたように、やっぱこのシステムはおかしいです。まず、所長さんだかが「一台も不良品はない」などと言明したこと。それ自体あり得ません。不良品はあることを前提にしてもらわないと。

 まあでも再試験は全国で300人。想定の範囲内でしょう。

 でも、もっとおかしいのは、「1回きりしか聞けない」こと。そう、このIC機器には再生ボタンのみが付いており、停止も巻き戻しもありません。オウムなみに、一度走り出したら、停まりません。途中でトイレとか、あるいはくしゃみしちゃったとか、それで聞けなくてももう取り返しはつきません。そうでなくても、「日本の試験は一発勝負。運に頼るところも大きい」といわれているのに、このヒアリングは、一発勝負の中の一発勝負、「キング・オブ・一発勝負」です。せっかく一人一台に機械配るんだから(これはこれで、ものすごい資源の浪費、だって、この機械は、今回の試験にしか使えないんですから)、もうちょっと柔軟なものにしてもいいのにねえ。

 なんかこれ、試験を出す方が、「オレは全能神なんだ、いっひっひ」みたいに威張りたいだけなんじゃないかという気がします。むかし、教師に「いいか、一回しか言わないから、よーく聞け!」と言われたのを思い出します。わからなきゃ何度でも聞き直していいじゃん。実際の英会話だって「perdon?」(中国語なら「再説一遍」)って聞き返せるんだから。


 で、まあそれとも絡むのですが、大学教員のブログを見ていると、「日常・非日常」にしても「トホホ」にしても、完全に学生を他者として見ている。「まったく、今時の学生ってのは信じられんよ」系のエントリが多数を占めています。

 まず最初に言っておくと、このブログは半実名なのであんまりそういうことは書けない、ということもあることは認めます。また、うちの大学はいわゆる遅刻なので、偏差値的にもそんなに悪くはない、ということもあります。しかしそれを差し引いても、「まったく学生はアホだバカだ、オレたちとは違う」とは、格段カッコつけているわけでもなく、思いませんけどねえ。

 というのも、ここからは僕の個人的な資質の問題になりますが、僕は、自分が学生と、もう完全に陸続きだと思っています。違う人種ではなく、「ああ、こいつらって、10数年前のオレだ」とね。で、今ではまかり間違って自分がたまたま教える方に身を置いていますが、それは本当にたまたま。だから「教える方が偉い」とか「なんで学生は勉強しないんだ」とか、本当に思いません。自分が大学生の時のことを考えると、ほとんどどの授業にも興味を持てず、とはいえ意識的にドロップアウトするほどの勇気もなく、漫然と授業にでていたものでした。普通に考えれば、勉強なんかしたくなくて当然です。それでも、漠然とした「知識を蓄える」とか「つねに好奇心を持つ」みたいな目標ではなく、なにかの「役に立つ」ことを教えようと、日々ああでもないこうでもないと考え続けているというわけです。

 そんなこんなで、「出来ない学生の気持ちが分かる」というか「勉強したくない学生の気持ちが分かる」ので、「好奇心をもてない、勉強が嫌いだなんて、しんじられない」的な物言いにはむかっと来るし、冒頭のセンター試験みたいに、一見学生のためを思うみたいなことを言いながら実際には自分が威張りたいだけ、みたいなことにも腹が立つんでしょう、きっと。