全知の神

 相変わらず香港の古新聞を読んでいます。

 でもこういう作業をしていると、不思議な感覚に襲われます。新聞の書き手/読み手とも、当然ながら、この時点ではその後の出来事を知らないわけです。日本軍の侵攻とかいろいろ。となると、この新聞を「今」読んでいる僕は、「この新聞の世界」においては、まさに「全知の神」です。えっへん。

 と同時に、何とか開戦を防ごうと論陣を張っている新聞記者たちの努力も、なんだか尊いものに思われます。たぶん、それが結果的には報われなかったから、なおさら。個人的な好みかもしれませんが、「報われない努力」というのが好きでして。