差別

 今日ラジオを聞いていたら、今話題の「欠陥マンション」について話していたのですが、読者からの手紙で、「私の夫は大工で、今は工期がどんどん縮まり、そのうえ仕事は増える、しかももらえる金は減っている」と訴えていて、最後に「家を建てるのは牛丼ではありません。“安く、早く、美味しい”なんてことはありません」と結んでいました。

 聞いててちょっとドキッとしたのですが、これって、牛丼屋さんによっては、ちょっとムカつくんじゃないでしょうか。書いた人にそういう意図はないにしても、明らかに「大工>牛丼屋」という図式で語っていますよね。

 と、最初にこう指摘しておいていうのもなんなんですが、差別というのは、難しいですね。以前、魯迅について授業をした時、「阿Qは最下層の肉体労働者で……」と言いかけてふっと立ち止まりました。魯迅が阿Qをそういう構図において人物像を作り上げたことは、まあ間違いないでしょう。しかし、では現代社会で「肉体労働者=最下層」という図式が成り立ちうるか。当然ダメです。いうまでもなく、これは差別です。しかし、そういう図式の元で読まないと、阿Qをはじめとする魯迅の小説が理解できないのも、また事実でしょう。

 まあ「魯迅の小説」なんかだったら、「昔はそういう価値観だった」ですませられるでしょうが、今現在のもの、例えば「コンビニバイト」とか「時給650円」とか、よくドラマやお笑いでネタになっていますが、でもこれは、やっぱりマズイことですよねえ。

 このあたりのことは、本当に難しい。