プラス思考。

 僕は基本的にプラス思考です。といっても、ポジティブの方ではなく、経験の方。世の中には、必要のない知識や経験はない、という立場です。世の中には、知らなくてもいいことやしなくてもいいことなんてない。知らないよりは知っていた方がいいし、経験したことがないよりはあったほうがいい。こんな感じ。あるいは、知り合いにならない方がいい、という人もいないとか。

 大学でも、なんでこんなことをオレが?みたいな雑用がわんさかありますが、それも「経験値アップ」という観点から、たいてい断らずに引き受けております。将来どうなるか分からないし、いろんな経験を積んでおいた方が、いつどこで役に立つかわかりません。で、ひょんなことから得た知識や着想が、自分の研究に役に立つ、なんてことも、決してない話ではありません。

 これでいうと、よく研究者には「(雑用やらムダ知識やらなにやら)そんなの研究の邪魔」的な物言いをする人がけっこういますが、僕はこれ、???ですね。理系は知りませんが、文系の、とくに人文系の場合、いろんな「不純物」をすべて取り除いて、真っさらな、真空状態・無菌状態で行われたような研究に、果たしてどのくらい意味があるんでしょう(まあ、雑用や会議の多さにも限度があるのは承知しておりますが)。

 とはいえ、こんなことをいっている僕は、実際にはものすごくヘタレ。初対面の人と会ってもうまく話せないし、仕事でも自分のいいたいことをうまく相手に伝えられないなんてしょっちゅうです。でも、もしかしたらだからこそ、そういう努力を怠らないようにしたい、という意識が強いのかもしれません。映画「パルプ・フィクション」の最後の、サミュエル・L・ジャクソンエゼキエル書を引用したセリフ、「でも、オレはそうなりたいと努力している」というのが大好きなのですが(そして、この“引用箇所”が架空のものであることもあまりにも有名)、この精神。「ダメ/ムリかもしれないけど、やってみる」というスタンスは、わりと好きです。「“ダメなのにやる”という自分に酔っている」といわれても、それぐらいで酔えるなら安いもの。