家族のイメージ

若者と接していると「オレの世代とは違うなあ」と思うことはしょっちゅうですが、最近、とくに「違うなあ」と思うのは、家族観です。

今年度、家族に関する授業をしていることもあって、家族について発表させる機会が多い。するとそのレジュメには、「本来、深い絆で結ばれているべき家族」「温かいものであるべき家族」みたいな言葉が並ぶのです。

べつにこれ、発表用に取り繕って、というわけでもないらしい。本心でそう思っているっぽい。

逆に、すごく新鮮です。そして本音を言えば、なんかこう、「それでいいのか」感が、あります。


オレが子供の頃、家族って、むしろ「逃げ出すべき場所」だったと思うのですよね。父ちゃんも母ちゃんも考え方が古くさい。オレらのこと、何にもわかっていない。まったく合わない。こんなとことっとと逃げ出して、好きなところで好きなように生きたいし、それこそがあるべき姿。

みたいなのって、あったと思うんですよね。オレ自身がそう思って、とにかくどこでもいいから出たかった。そのチャンスは、大学進学時。だからもう当然のように他県の大学を選びました。一人暮らしを始めた時の、あの解放感。嬉しかったですほんと。

別に仲が悪いとかそういうわけでもなかったけど(その後両親は離婚しましたが)、もういやでいやでしょうがなかったし、そうあるべきだ、という世間の空気も、あったと思うのですよね。たとえば当時、オレが家族についての発表レジュメを作るにしても、「家族は絆で結ばれるべきで」なんて、とてもじゃないけど書かなかった/書けなかったと思います。

それが今では。


発表後の討論では、オレがしきりに「でも親って、うざくない?」「「仲がよすぎる家族」も、それはそれで問題あるんじゃない?」みたいに誘導しても、あんまりピンとこない様子。むしろ「なにいってんのこの人は」みたいな目で見られる(ような気がする)。


これにはいろんな要因があると思うのですが、長くなるのでまたそのうち。