青天の霹靂

昨日twitterでも書いたことですが。

パソコンの普及が及ぼした影響については業界を問わず大きいのでしょうが、われわれの業界でも、その影響力は計りしれませんよね。

なによりも、研究者の参入障壁を劇的に下げた。「論文を書く」ことの敷居を劇的に下げた。

たとえば、オレらの分野の場合。パソコン前は、論文を書く/書けるなんてのは、家に漢籍が置いてあり、幼少の頃から親しんでいた、みたいな人に限られていたわけです。大学に入って「へえ中国文学って面白いじゃん」と気づいた、なんて平民が付け入る隙はなかった。

だって、用例を黙々とノートとったりカード作るなんて作業、1年や2年でできるわけありません。いや驚異的な忍耐力の持ち主ならできたかもしれませんが、逆にいうと驚異的な能力がないと中途参入はとても無理です。

それがパソコンの登場によって、家にあった本といえばたぶんインテリアで買った「世界文学全集」ぐらい、もちろんそんなの読みもせず、子どもの頃はひたすらぼんやりテレビを見ていた、ようなオレなんかが偉そうに「論文10本書きました」なんて言えるようになったわけです。

この辺、ワープロとパソコンでまた分けて考えなくてはいけないかもしれませんね。ワープロはあくまで「書くこと」を簡単にした、止まり。「調べること」も簡単にしたパソコンは、ちょっと事情が違うかも。


もちろん、パソコンはどんな業界でも基本的に参入障壁を下げる方向に働くのでしょうが。でもこの辺、「パソコンの導入−普及による論文数の変化」みたいな研究、あんまり見たことないような。当たり前すぎて誰もやっていないのかな。

それと、パソコンが普及したのは、ちょうど大学院拡充で院生数が劇的に増えた時期(すなわち私が入院した頃ですが)と重なっているのは、偶然なのかどうなのか。因果関係なのか相関関係なのか。このへんもよくわからん。