「入門」の政治学
最近はこれを。
- 作者: 岡本隆司,吉澤誠一郎
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2012/09/01
- メディア: 単行本
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書いてる方々は名だたる研究者揃いだし、中身もたいへん勉強になる、ものではあるのですが…
全編に漂う「おせっかい臭」は、なんなんでしょう。
この分野を研究するにはこういう心構えでまずこれを読み次はこれを読み、そしてこういう心構えで論文を書け、等々。
う〜ん、本当に「この通り」に勉強して論文を書いたとしたら、それって結局は、執筆者の先生方の劣化コピーにしかならないんじゃないか、とか思っちゃうのです。卒論程度なら「一流研究者の劣化コピー」で十分でしょうが、もし(おそらくこの本が対象として念頭に置いている)プロの研究者を目指す院生なら、さすがにそれではダメでしょう。
もちろん、オレのこういう暴論には反論が可能です。
たとえば、この本が基本的に歴史研究を対象にしている、ということ。歴史というのは頑とした徒弟制です(当社調べ)。丁稚は先輩に厳しくしごかれ、それに耐え抜いて、一歩一歩階段を上っていくのです。ゆえに「まずはこれを読め」「次はこれをやれ」という「指導」と親和性がある。そこらにある本を手当たり次第に読んでいけばいい文学みたいないい加減な分野とはそもそも違う。
また、「お前みたいな三流研究者が何言ってもムダ。事実、ここに書かれた先生方はみなこういう手順をたどって一流になったのだ。お前みたいな適当な方法で研究したところで三流にしかなれないというのはお前自身が体現しているじゃないか」というのも、普通に有りです。
なのでこれはこれでいいのですが、ひとつ気づいたのは、「「入門」の思想」ってけっこう面白いかもな、と。世にある「○○入門」を片っ端から読んでデータ取って、パターンを探るのは研究としてなかなか面白そうです。そして「「○○入門」研究入門」を書けば一石二鳥。