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最近、アメリカの孔子学院についての話題が、ちょっとだけニュースになりました。

それと、「スパイ」の話題も。

孔子学院については、私も仕事柄気になるところでもあるので、いろいろ調べているところでもあります。


こういうの、よく「宣伝機関だ」、甚だしきは「洗脳機関だ」みたいな言われ方をします。

もちろん、当たっていなくもないです。「宣伝」とか「洗脳」の意味を広く取れば。あるいは、目的の時点では。

しかしじゃあ、「孔子学院が次々作られると、国中が親中になる、あるいはせめて、親中が増える」かというと、まあちょっと、絶望的でしょうね。


ふだん中国文化を講義していて思うのは、今の若者たちにおける、中国文化への圧倒的な関心の無さ、です。

中国文学を専攻する(=オレのゼミ生になる)ような学生ですら、基本的に、中国文化に興味などまるでありません。

もちろん、人によってバラツキはあります。「三国志好き」とかもいるし。まあでも、ほとんどは、「中国って、パクリの国」という程度の認識です。アニメでも漫画でも映画でも文学でもなんでもいいから作品名を挙げろ、と言っても、「史記」や「三国志」みたいな古典以外は、確実にゼロです。なにも知らない。

この原因は、もちろん「学生の不勉強」に帰すことも可能です。ひとまずは。

しかしじゃあオレの方で、「(今現在の)中国の文化で、「これは絶対オススメ」といえるものがあるか?」というと、まあハッキリいって、ありません。

あえて言えば、映画、かなあ。それでも、「世界中の何をおいても、中国映画を見るべきだ」と断言することは、できないかなあ。単発の作品でいくつか、ぐらいしか。


なので仮に、「宣伝機関」で一生懸命「宣伝活動」したところで、それで中国好きが増えるとは、あんまり思えません。だってどう贔屓目に見ても、中国のコンテンツ見るよりは日本やアメリカのを見る方が楽しいし。もちろん、こういう宣伝活動によって「中国人の言い分」を聞くことには、ものすごい意味はあるでしょう。が、問題は、誰が好きこのんで「言い分」を聞きに来るか、という点です。


結局、文化なんてのは、いくら立派なハードを作っても、広まらないですよね。何よりもソフトを充実させないと。日本人学生が、こっちが頼んでもいないのに「これを見たい!」という意欲のもと、勝手に中国語を勉強するぐらいじゃないと。


なので私も商売柄、中国のソフト産業には頑張ってほしいんですよ。でも、この方面も、当分は望み薄、ですかねえ。