向き不向き
この時期、といっても卒業式から新学期までの短いあいだですが、一番のんびりしているかもしれません。まあ、人によるのかな。いろんな係になっている人は、忙しそうだし。
というわけで今はこれを。
儒教と中国 「二千年の正統思想」の起源 (講談社選書メチエ)
- 作者: 渡邉義浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 32回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
内輪の話ですが、著者は今、なかなか「時の人」だったりします。
たいへん分かりやすい。すばらしい。
オレのような「現代中国プロパー」にとって、中国古典というのは、もう本当に、お尻にできたイボみたいなもんでして。ハッキリいって、あんまし興味はないんですよ。「春秋がどうした」とか、どうでもいい。でも、とくに文学なんかをやっていると、「古典も知らずに、ここ100年のものばかり読んでも意味ない」とか「現代の作家だって、みんな莫大な中国古典の知識があって、そこから創作を初めているんだ」とかなんとか言われるわけで、とはいえ今さら『史記』や『文選』読むのもしんどいし、まあ最低限の知識を身につけられればいいなあ、でもそのテキストとして手頃なの、なかなかないんだよなあ、と思っていたのでした。
ちなみに以下は、本書と著者にはまったく関係ないことです、と前置きしておきますが、こういう入門書、「一流の研究者」だから書ける、というわけではないのが面白い。むしろ、「教師」と一緒で、出来ない人の方が、出来ない子の気持ちが分かるので、一から教えるのにはむしろ向いていたりします。で、一流の研究者の入門書が、あまりに難しすぎて、入門にはまったく向いていなかったりとか。
あれ、それでいくと、オレはけっこう、入門書執筆に向いているのかもな、とかって。