英語でアピール

聞き取れもしないのにCNNをよく見ているのですが、気づくのは、日本人が英語でインタビューなり取材なりをしたりされたりすることが、ほとんどない、ということ。


これが他の国、中東にしろアフリカにしろ、中国にしろ韓国にしろ東南アジアにしろ、「自国のことを英語で発信する人」、官僚や政治家や記者が、往々にして登場するものです。

それが日本ではとんとお目にかかれない。今回の震災は、CNNでも、とくに最初の1週間は大々的に報道されていましたが(今ではもうすっかりリビア情勢にその座を奪われましたが)、リポーターは、最初中国系、のちに自社のジャーナリストたち。日本人が英語で何かを言っていたのは、オレが聞いた限りでは、政府の報道官(たしか)が電話インタビューを受けていたその1回きりです。

これがリビアだったら、今日も役人だか政治家だかが英語で自分の主張をまくしたてていました。


一般的にはこれは「由々しき事態」なのかもしれません。発信力で他国に負ければ、そのうち、欧米での日本イメージが「中国や韓国経由」のものになってしまい、歪んだものになってしまう、等々。


……とはいえ、これは「日本におけるエリートは、「英語を話す」ということと、イコールではない」という事実をも、表しているんだなあ、とも思います。

いうまでもなく、「中東・アフリカ・アジア」の多くの国は、「英語を話せること」がエリートの証です。逆にいうと、英語を話せないような国民は、端からお呼びではない。さらにいうと、欧米に留学に行く機会・カネがなければ、最初から意思決定や発信からは排除されてしまう、という傾向がある。

その点日本は、もちろんエリートと一般大衆との乖離がないわけでは全然ありませんが、まだマシ、とは言えるでしょう。英語で勉強する機会が無くても、政治家にも官僚にも記者にもなれますし。


これがいいことかどうかは分かりません。政治家や官僚たるもの、やっぱりある程度の「エリート意識」や「帝王学」は必要、なのかもしれないし。


しかも日本の欧米コンプレックスはまだまだ健在です。今回も、なんの根拠もなく、「日本の報道より海外のものの方が信用できる」とブログやツイッターで書いている人のなんと多いことか。しかもけっこう偉い先生(内田先生とか)まで。