失われたもの
今日はたまたまこの映画を。
- 出版社/メーカー: 松竹
- 発売日: 2005/08/27
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いやいや感涙でした、いろんな意味で。
なんか、とても同じ国とは思えませんね、今と比べると。たかだか50年前なのに。
オレは安易に「昔はよかった」と懐古趣味に走る人間ではない、と言い訳をした上で、当時と今で何が違うんだろう、当時から何が失われてしまったんだろう、と考えて、タテマエがタテマエとして存在しうること、なんじゃないかなあ、と思いつきました。
つまり、この映画、すべてがタテマエなんですよ。当時の人々が、この映画の登場人物みたいにお上品に話し、考えていたとは思えません。ちょっと嘘くさい。
でも、こういう「作り物」が「本物」として存在しうる、そしてそれをみんなで楽しむことのできる、そういう文化が、まだあったんだろうなあ、と。
いっぽう今は、いうまでもなくホンネ全盛です。かなりいい加減なことをいえば、テレビの登場で徐々にホンネのほうに価値が置かれてくるようになり、ネットがトドメを刺した、というところでしょうか。どんなに偉い人だろうが、どんなにお上品に見える人だろうが、どーせ裏ではやることやってんだ、みたいな。なので、今では、ホンネをこれでもかと見せつけ(られ)るか、タテマエを御伽話と分かった上でネタとして楽しむかの、どっちかしかない。そう、今回の芥川賞2作品が、まさにこの「2つの傾向」を体現しています。
なんだかよくわからなくなってきました。まあ、今となっては、あるいは今後も、こういう映画は、もはや絶対に作られることはないでしょう。それでもいいのかもしれません。