正しい発音

先日の中国語暗唱大会、審査員はオレ以外に2人の中国人でした。2人とも20代後半ぐらいの女性。1人は大連出身、もう1人は江蘇出身。ちなみに先日触れた、ガラの悪い日本語をしゃべっていたのは江蘇の方。

さて、暗唱大会に出場する小学生、実は帰国子女がほとんど。まあ、almost ネイティブです。

なのでココだけの話、オレにとっては誰が1位も2位もないじゃん、という感じなのですが(なのでもっぱら表現力とかで順位を付けていました)、他の2人は、「何番は方言がキツイ」「何番は南方訛りがある、あれは親が悪い、きちんとした発音を教えないからだ」などと議論し、きっちり順位を付けていました。


その後の雑談でいろいろ聞くに、中国では、国語教師になるために「普通語発音テスト」があって、それに合格しなければならないそうで。知らなかった。とくに「eng」の発音が南方人はできないので(「ing」と区別がつかないらしく)、そればかりを発音させるテストもあるそうです。

で、面白かったのは、こういう話題が出たからでしょうが、大連出身の女性が、江蘇出身の女性の発音をからかっていたことです。「ほら、あなたは○○の音をきちんと発音できていないじゃない」みたいに。もちろんおふざけでしょうが。


「正しい発音」。われわれにはなかなか無い発想ですね。「正しい言葉遣い」、ならあっても。
あ、「われわれ」なんて言っちゃいけませんね。オレにはありませんでした。自分の発音が標準的かどうか、なんて。

もちろん「日本は均質性が…」とかいうわけではなく、言うまでもなく「方言札」みたいな例には事欠かないわけですが、まあオレなんか、日本における「恥ずかしい方言」の筆頭であろう東北弁の話者であり、普段のことばにもたぶんポロッと漏れたりしていますが、「deseanがしゃべる「わたし」は、標準語に比べ、「た」には濁音が若干混じり、「し」は標準語に比べて若干「す」に近くなっている」とか分析されたら、イヤですよねえ。

今回、「暗唱大会」という特殊な舞台ではあっても、方言によって「順位」が付けられる、というのは、あんまり良い気分はしませんでした。とはいえ、中国人審査員を覆すだけの理論武装もできず。


ちなみにオレが上海留学組だから、でしょうが、2人の話す中国語は江蘇のが断然聞き取りやすい。というか北方人の中国語はほんと聞き取りづらいっすよ。早口だし。