スポーツと学歴
さて、昨日勝ってギリギリでプレイオフ出場を決めたBaltimore Ravensですが、ここには今期ちょいと話題になった選手がおります。オフェンスタックルのMichael Oher(「オアー」と発音するようです)。
彼の伝記はこれ。
- 作者: マイケルルイス,河口正史,藤澤將雄
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2009/11/25
- メディア: 単行本
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で、映画化もされました。それについてはこちらを。
ここに書かれているように、オアーは「幼くして母に見捨てられ、ホームレスとして育ち、字の読み方どころか、オーシャン(大洋)という概念すら知らなかった」のでした。それをある裕福な白人夫婦が引き取り、自分の子どもたちと同じように育てていきます。たぐいまれな体格を持ったオアーはやがてフットボール選手としての才能を開花させ、名門ミシシッピ大学にフットボール奨学生として入学し、そこでも活躍して、昨年のドラフトで見事Baltimoreに1巡指名されたのでした。これをメディアが「アメリカン・ドリーム」として大々的に取り上げた、というわけ。
ちなみにルーキーとしての今年の活躍は、まあまあ、ぐらいですかね評判は。なにせオフェンスラインという数字に結果がほとんど残らないポジションなので、素人目にはなかなか評価が難しいのですが。
さてさて、そのBaltimoreのオフェンスラインといえば、同僚にはプロボウル級の名センター・Matt Birkがいるのですが、彼は天下のHarvard出。
Ivy League出身者がいるプロスポーツは、NFLぐらいでしょうね。逆にNFLでは、めちゃめちゃ珍しい、というほどではありません。全部合わせれば数名はいるでしょう。
Harvard出と、字もロクに書けない(書けなかった)のとが、一緒にプレイするというのは、なかなか面白いと思いまして。ちなみにアメフトのオフェンスライン(5人)というのは、すべてのスポーツの中でも、おそらく最高レベルのコミュニケーションを必要とするポジションです。この二人、ちゃんとコミュニケーションとれてるのかな、二人で話す時の話題はなんだろうな、とか、余計なお世話だと知りつつも考えてしまうのでした。
ちなみに前掲『ブラインド・サイド』はアメリカのスポーツ選手における高校→大学→プロという「出世コース」の裏側を描いていてめちゃめちゃ興味深い。アメリカは何とかいう共通のテストがあってそれを越えないといくらスポーツ推薦でも(というかスポーツ推薦であればこそ)大学に入学できないのですが(そしてあんまり事情を知らない人たちが「だからアメリカは文武両道なんだ」とか言っちゃうわけですが)、それの「抜け道」が事細かに書かれてあったりします。オアーやその家族というよりも、むしろミシシッピ大学側が、この抜け道を積極的に利用して、字もロクに書けない(もちろん、貶めるつもりはありませんが)オアーを入学させた、という裏話は、なかなか考えさせられます。