珍しく
ふだんほとんど小説は読まないのですが、さすがにこれは、ということで読んでみました。
- 作者: 楊逸
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/07
- メディア: 単行本
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ちなみに『文藝春秋』にて。
う〜む……
いや、繰り返しますが「ふだんほとんど小説は読まない」ので、偉そうな論評はできません。が、「えっこれが???」という感想。
今時、中国本国だって、こんな小説、流行らないんじゃないの???
この小説が「(一部の人に)受けた」としたら、その理由は、「久しぶりに人生という言葉を文学の中に見出し、高揚した」(高樹のぶ子「選評」)ということばに象徴されるような、ある種の時代錯誤感、とでもいうべきものでしょう。「「四十年前、このように必死で社会や国について考え議論し、闘い挫折し変節した青春があ」り、「それを描く文学風土があった」(高樹「選評」)ことを懐かしむことができる人(つまりは、オジサンオバサン)には、「何丁目の夕日」的な感覚で、それなりには受け入れられるのかもしれません。
しかしそんな記憶などかけらもないナウなオレには、このノリは、ちょっとムリでした。
そしてもちろん、「書き手がただ中国人だということだけ」(石原慎太郎「選評」)で選ばれた(「だけ」かどうかはともかく)のは、否定できますまい。
別にいいんですよそれでも。ある組織が、自分とこの賞を、どういう理由で誰を選ぼうが、勝手です。
オレだったら絶対選ばないな、とは思いますた。
なお、『文藝春秋』の同じ号には、「北京五輪 日中大論争」という、櫻井よしこ・田久保忠衛vs中国人学者の討論が載っていて、正直、こっちの方が何倍もおもしろかった。この手の論争は、韮沢vs大槻と同じで、もう古典芸能の域ですね。おなかいっぱいになりました。