タコツボ化
僕は一応、文学研究業界に属しているわけですが。
最近、どうも、文学のシンポや研究雑誌が、面白くなくてですねえ。
文学研究も、最近は、いわゆる文学にとどまらず、映画とか、演劇とか、漫画とか、音楽とか、そういうものに対象が広がってきました。
これはいいことです、ひとまずは、たぶん。
しかし同時に、それぞれの研究が、タコツボ化してくるという、そういう副作用がみられるようにもなってきたんじゃないかと思います。
たとえば、うちの業界では、最近、演劇研究が花盛りです。われもわれもと演劇研究。
しかし、僕のように演劇にはこれっぽっちも興味のない人間にとって、演劇の細かいどーたらこーたらいう発表を聞いたり読んだりするのは、苦痛以外の何者でもありません。
映画研究もそう。ちょっと前、ある雑誌で映画研究特集が組まれましたが、映画館がどうしたとか組織図がどうしたとか、マニアックすぎて読む気もしないものがほとんどでした。
もちろん、これは「オレの頭が付いていけないだけ」なのかもしれません。
でも、文学で「研究が進む」って、結局こうなっちゃうんですよね……
実はこれが歴史だと、案外そうでもないのです。
歴史業界って、国や時代を跨いでデカいテーマを想定し、それについてあれやこれや議論する、みたいなことが、ふつうに行われます。
これってうらやましいです。実際面白いですもん、そういう議論。
文学でも、なんとかそういうことができんもんですかね……