解決の糸口

上海から帰ってきました。

今さら僕が新しいことを言えるわけでもないのですが、やっぱりチベットの事件。


今回、日本人4人と中国人1人、というシチュエーションで食事をする機会がありました。中国人は、まあインテリといっていい階層の人。

日本人の1人が意地悪く「今チベットでこういうことが起こっているんだけど、中国では報道されていなかったり、ねじ曲げて報道されたりしている。それについてどう思う?」と中国人に聞きました。
(3・14以後、中国では、CNNやNHK等の衛星放送で、チベット問題が報道されたとたん、画面が真っ黒になり音声も消えるんだそうです。検閲官の方、ご苦労様であります。また、youtubeも見れなくなったとか)

中国人の反応は、「ふ〜ん、べつに」でした。


サンプル数たった一人で偉そうなこと言うな、と怒られそうですが、でもこれが、この事件に対する中国知識人の典型的な反応、なんじゃないかと思いました。


中国のインテリは、貧富の差とか環境問題とか、そういうテーマに関しては先進国(ととりあえず括っておきます)のインテリと大差ない反応をするのですが、(とくに自国の)民族問題に関しては、よくて(上記の中国人みたいに)無関心、悪いと「これは中国の内政問題だ」とロコツに不快感を表す、というケースが多いように思います。


もちろん、彼らが、「チベットは独立すべき/させるべきだ」などと国内で発言することなどできるはずもないのである意味当然の反応ではあるのですが、ただこれに関しては、「本当は違う意見だけど、言えない」というよりは、内心でもそう思っている、というフシがあります。

つまり、彼らは、「貧しく遅れた少数民族を、漢族が人的・経済的に救ってやっている」という意識を、かなり強烈に持っているのです。なにせチベット「解放」ですしね、彼らの歴史観では。

そしてこれは、100%妄想である、とも言い切れない。漢族が少数民族地域のインフラを整備してきた、という側面は、あることはあるからです。まあこれは、「台湾や韓国は日本が近代化した」的な、傲慢な考え方ではあるのですが、完全なウソっぱちともいえない。


……つまりなにがいいたいかというと、チベット(やらの民族問題)に関しては、他の問題以上に、中国国内の「内圧」、あるいは中国のインテリの「成長」(というと偉そうですが)に、解決の糸口を期待するのは、難しいのではないか、と思った次第なのでありました。とくに昨今の経済成長下では、「カネをつぎ込んでやっているのに、何が不満なんだ」という逆ギレ的(あるいは日本の一部が沖縄に対して示すような、といってもいいかも)反応を、引き起こしやすいのでは、とも。