ふたたびダブスタ

オレが日本の左派にいまいちついていけない(自分の考えは左寄りだと思うのに)のは、自分が中国屋だから、というのも大きいのはたしかです。


左派の中国研究・報道をみていると、そのダブスタぶりが気になってしょうがない。全世界的にみればともかく、日本の左派は、国家権力に反抗し、一般市民の立場に立って行動する、のがお題目のはずです。そしてだからこそ、国家なるものには反対し、国家を超越した視線、それこそ、「地球市民」的な視点に立つのこそが、あるべき姿であるはず。


であるなら、なんでアメリカ・日本なんかには厳しい一方、あそこまで中国政府に甘いのか。それが分からん。例えば台湾問題に対して、左派の理屈でいえば、「台独派」に立つのが筋というもんじゃないでしょうか。しかし日本の左派は、軒並み(全員とはいいませんが)「統一派」です。あるいは「台湾問題は、中国の内政問題だから、日本人は口を出すべきではない」みたいな言い方をする*1。おいおい、国家的視点を超越するんじゃなかったのかよ。真の「地球市民」なら、「内政問題」なんて何の口実にもならないはずじゃん*2


アメリカとは距離を置け、というのは分かります。でも、だから中国政府と近づくべきだ、とはならない、はず。少なくとも、真の地球市民であれば、どういう理屈をどう捏ねくり回しても、今の中国政府を好意的に評価する(アメリカとどっちがマシ、というのも含めて)なんて、アリエナイザーなんじゃないのかと思うわけでした。

*1:この手の物言いは、人権問題についても、チベットやらウイグルやらの独立問題についても、お約束的・言い訳的に言われますが。

*2:もちろん、「地球市民」がはたして「独派」に立つべきか、「統派」に立つべきか、というのは、そう簡単に決められるもんじゃない、のかもしれません。地球市民ならむしろ、(世界のさまざまな地域で起こっている)独立問題に対しては、批判的なスタンスを取るべき、なのかもしれませんし。ただそれでも、無条件で統一に賛成する、そういうスタンスはありえないはずです。