海外体験

ちょっと前のニュースですが。しかしブログでは、5日前のニュースがもう「昔の話」になってしまうのですな、と自分で突っ込み。

http://www.ubenippo.co.jp/one.php?no=3852

「図書購入費が前年度の10分の1に激減」というニュース。なんだかなあと思いますが、(申し訳ないことながら)個人的に気になったのは図書費よりもこの記事の最後の、

市は、財政破綻(はたん)の手前で踏ん張る「がけっ縁予算」と位置付け、市民サービスの低下への理解を求めているが、中でも中学生の海外派遣、図書購入費、敬老祝い金の「三点セット」への風当たりは強い。

の、とくに「中学生の海外派遣」の部分。


地方の大学にいて、学生に聞くと、「海外渡航体験」を持っている学生は、実は結構多い。そしてその体験の多くは、この「中学生の海外派遣」だったりするんですね。

僕がいわゆる「外国研究」をしているからとくにそう思うのかもしれませんが、「外国に行く」って、かなーり大きな影響を持つ、と思っています。

やっぱり外国に(ほんの短い期間でも)行くことは、日本を相対化して見れる、その契機になると思うのですよ。もちろん外国(中学で派遣するのはほとんどが中国・韓国のどっちかだと思いますが)に行ったからといってその国のことが好きになるとは限らず、むしろ「向こうでいやな目に遭って反中/韓意識バリバリになって帰ってくる」可能性だって十分あったりするわけですが、それでも、子供のうちに海外の空気を吸わせ、世界には、日本とはまたべつの論理・システムで動いている国がある、ということを知らしめるだけでも、その効果は計り知れないと思います。日本の常識なんて、所詮は相対的なもんなんだよ、と。


繰り返すように外国に行くことで「やっぱり日本がいい、俺は日本を愛する」とバリバリの愛国者になって帰ってくることもありえますが、もうそれはそれ。「行かないで愛国者になるより、行って愛国者になるほうがいい」のです。


中学生の海外派遣、図書購入費、敬老祝い金の「3点セット」の「どれを削るか」となったとき、「そんなの全部削らずにやるのが行政サービスだろう、何の努力もしないでなにいってやがる」と怒鳴り込むのが一番だとして、それでもどうしても、何かを削らなくてはならない、という場合、僕は個人的には、「中学生の海外派遣」は削らないでほしいなあ、と思っています。


もちろん、こんなのは、その人のポジションによって変わるものでしょう。僕だって、図書館関係の仕事をしていたりしたら「たいして役にも立たん海外派遣より、図書費だ」というだろうし、また自分が老人を抱えていたり老人だったりしたら、「今まで社会を作ってきた功労費が何より大事だ」というかもしれないし。

そして実際、「海外利権」によって、「中学生の海外派遣」が、一番削られる可能性が低そうだし。旅行会社とのつるみもあるだろうし、海外交流の実績稼ぎにもなるし。