昔の経歴

最近テレビでやけに教育に関する討論が放送されていて、見るともなしに見たりするのですが、ゲストの中で一番「こっちがどう扱っていいのか分からない」のが、あのヤンキー先生です。


たぶん、彼に「元ヤン」という過去がなければ、仮に同じことを主張したとしても、まず間違いなく、「自らの人生哲学を他人様に説教」するような、どこにでもいるウザいオヤジだったに違いありません。


しかし、天は彼に「元ヤン」という天分を与えた。この「元ヤン」というポジションがまた絶妙です。これがごく普通の過程に育ったオジサンとか、あるいはエリート政治家でもいいや、そういう人らが同じ主張をしたら、いくらでも突っ込み可能です。「お前は自分がいくら恵まれてんのかわかってんのかよ、えっ?」と。

ところが、ヤンキーのような階層の出の人に対しては、「ヤンキーなんて人間のクズ」などと仮に心の中でそう思っていたとしても実際には口が裂けてもいえないような「知識人」たちは、どうしても批判の矛先が鈍ってしまうのです。


しかも、彼の主張も、正直、「完全におかしい」と断言できるものは少ない。これなんかも、まあそら、家族(がかりにいるなら)みんなで食事をとった方が楽しいわな、と思いますし。その辺の主張の匙加減も、本当に絶妙。アホみたいに愛国心を連呼するアホ議員よりも、よっぽど頭良いと思います。


それ自体が全て演技、と穿った見方もできそうですが、でもテレビで見る限り、けっこう本気っぽいんですよね。媒体を通じてだから冷静に見れるけど、もしリアルで彼みたいな人がいたら、僕みたいな単純な人間は、間違いなく信徒になる、と思います。


いやでも、なんか違うんだよな、うーんでも……


と、彼を見ていると、何とも落ち着かない気分になるのでした。