コスト

スウェーデン政権交代があったそうです。へえ。


で、『日本とフランス 二つの民主主義 (光文社新書)』にも書かれているように、ヨーロッパでは、「大きな政府=左派=平等指向」と「小さな政府=右派=自由指向」とのあいだで、つねに緊迫感のある政権党争が繰り広げられているとのこと。今回のスウェーデンでは後者が前者をうち負かしたわけだし、最近の日本を見ると、世の中全体が自由指向に向かっているようにも思えますが、実際には、少なくともヨーロッパでは、両者が激しい接戦を展開しているということでした。


日本もそうなればいいなあ、だって民主党って、なんか「自民党の2軍」的な感が否めないし、社民党共産党にいたってはごにょごにょ、という感想はともかく、ちょっと気になるのは、政権交代が行われた場合のさまざまなロスです。


例えば、僕自身に即して考えると、国立大学。今の日本は「小さな政府」一本槍なので、周知のように旧国立大学も独法化されたわけですが、もし、日本で「大きな政府」が勝って、「やっぱり国立大学に戻します」てなことになったら……


なんとなくはうれしいかもしれませんが、なにより、「今までのゴタゴタはなんだったの??」と、強烈な虚しさに襲われること請け合いです。独法化されてこの方、ありとあらゆる理不尽さを乗り越え、ようやくここまできたのに、えっ、また元に戻すの……?

元に戻すんだからそんなに大変じゃないんじゃない?と思いきやさにあらず。たぶん、同じだけの労力と時間がかかることでしょう。


そして4年後、ふたたび「小さな政府」が勝って、「やっぱり独法化」……


いやはや、考えただけで、うんざりします。
郵政民営化なんかでも、同じような光景が繰り広げられるんでしょうか。


ヨーロッパでは、このぐらいのロスは、織り込み済み、なんでしょうか。「民主主義を実現するために、必要なコスト」ということで。まあしかし、それはそれで大変かも、とも思うのでした。