ちょっとした違和感

 僕も中国研究者の端くれ、村田雄二郎ブログは読んでおります。とはいえこのブログは、記事のほとんどが研究会のお知らせなので、田舎に住む僕は「いいなあ東京はこんなにイベントがあって」と羨望したり、「こんなに研究会が多くて、いつ自分の勉強ができるんだろう」と妬んだりと、あまり健康的とは言えない閲覧を行っております。


 なので、あまりブログ主である村田先生の肉声は聞けないのですが、ちょっと前のこの日の「おすすめブログ」という記事は、その名の通り「ひときわ精彩を放っている」とまでいうブログを紹介しておりました。「チャイナ・ウォッチャーものにせよ,職業的研究者の論文にせよ,ふだん耳にし眼にする現代中国論なるものの多くが,「ことば」やことばの発せられる「場」にあまりにも鈍感なことにしばしば驚かされる。他者とその「ことば」にたいする最低限の感受性の欠如は,明らかに「おのれを知らざる」ことの裏返しだ。」という意見には、98%同意。さっそく紹介された記事を拝見してみました。


 あれ……この程度のものなの……


 紹介されているブログ、決して間違っているとかおかしいとか、そういうわけではありません。「商売人の理屈」(決して貶めているのではなく)としては、これが本音、なんでしょう。しかしなんというか、このブログ、そして村田氏が「特に読んでほしい」と書いているこの記事も、別段目から鱗が落ちるようなことが書いてあるわけではありません。「お互いに儲けようじゃないですか」「そうでんな、ぐひひひ」(ちょっと下品にデフォルメしすぎましたが)という、経団連的なことが書いてあるだけです。


 で、不思議なのは。

1.このブログは、基本的に自分のゼミ生に向けて書いているものであると思われます。そこでこの記事を勧めるということは、村田ゼミの学生って、この程度のことも「初耳」な程度なの??あるいは、村田先生が、自分のゼミ生を過小評価しているの??
あるいは、村田先生はまさか、いわゆるネットウヨの人に向けて、この記事を書いたの??村田先生ともあろう方が、そんなものにまで手を伸ばさなくてもいいのに……


2.「日中が互いに……」という記事は、同じブログに載っている、彼の著書『中国台頭』(sean未見)の深川由起子氏の書評の、「本書が印象的な点は中国がいかに良くも悪くもとんでもないか、に終始しがちな類の本とは異なり、一貫して視点を日本に置き、どう対応するか、に置いていることだ」という部分がまさに本質を突いていると思うのですが、要するに「日本はどうすれば生き残れるか」に視点を絞っているのです。良くも悪くも、日本中心主義。これって、村田先生の「推薦文」の、(平たくいうと)「他者の声に真摯に耳を傾けよ」という主張とは、かな〜り次元の違うもののように思うのですが。


 ちょっとした違和感でした。