ハイソな文学

 文学をやっていて思うのですが、文学というのは、読み手も、いわんや書き手も、必然的にある階層以上に限定されます。前にちょこっと「漫画すら読まない」学生というのに触れましたが、これまたいわんや文学をや。
 一般家庭にお邪魔しても、本がある程度揃っているお宅というのは限られます。普通はせいぜい雑誌が無造作に置かれているくらい。


 なので歴史に比べると、扱う対象はもちろん、やっている人までが、どことなくハイソに見えます。歴史の場合は「下層民の歴史」という研究は有りですが、文学の場合、「下層民の文学」というのからしてすでに語義矛盾の気配が漂います。本当の下層民は書きも読みもしねーよ、という。


 そっか、とすると、文学研究者に浮世離れした人が多いのは、当然か……