新学期

 新学期。いいもんですね、やっぱり。今年の新入生はややおとなしめ。

 よく、「学生は製品で、4年間でどれだけ付加価値を付けて、社会に送り出せるかで、大学の価値が決まる」的な物言いを聞きます。まあ、理屈ではそうなるのかもしれません。ただ、やはり、人間は製品ではないし、大学は工場ではない、と思います。目に見える付加価値、例えば、TOEIC何点とかエクセル覚えたとか、もちろん、それは大事です。でも、それだけじゃないっす。友達何人できたとか本を何冊読んだとか世の中のことをクヨクヨ考えたとか、あるいは何もせずにぼーーっと4年間過ごしたでもいいんです。一生のうちにそう何年もない(僕は十何年もありましたが)「何もしない時間」というのは、赤ちゃんの成長に眠ることが欠かせないのと同様、それなりに必要なんじゃないかと思ってます(あるいは、こないだの繰り返しですが、「そういうのが必要な人もいる」というか)。

 ただ、ここんとこの風潮を見るに、やっぱりこういう考えは廃れつつあります。「就職のため、頑張れ頑張れ」と。


 まあ、三十過ぎまでお勉強もどきを延々と続けてやっと就職できた(逆に言うと、三十過ぎて就職できなくても食っていけた)僕が、「そんな風潮おかしい、大学は就職予備校じゃない」とかいっても、説得力ゼロですね。いや、それは分かっているんです。はい。