教師信仰

 僕は、田舎で育ったからか、あるいは母親が教師だったからか、「教師って無条件で偉い」という「教師信仰」みたいなものが、かなり遅くまでありました。

 僕の先生世代の血気盛んな方々だと、「オレは高校の時、生徒会で教師のつるし上げとかよくやったもんだ、がっはっは」みたいな武勇伝を語る人がよくいますが、あれは僕には信じられませんでした。高校生なんてまだまだガキの時代に、先生を苛めるなんて、そんなの信じられない!

 あるいは、都会の進学校だと、教師−生徒の関係が、ドライだと聞きます。授業サボって映画を見に行ったりとか、これまた、信じられない!

(ちなみに、僕は宮城県出身ですが、そこは管理教育みたいなのとは無縁のところです。坊主にしろとか、スカートは膝上何センチとか、そんなの全然なかったし。)


 しかしその教師信仰が揺るぎ始めたのは、大学に入って、教育学部の連中と付き合ってからでした。「えっ、こんな連中が、教師になるの??」

 そしてその信仰が完璧に崩れ去ったのは、自分が教師になったことでした。「えっ、このオレが、教師になるの??」


 今の学生たちは、もう最初っから、そんな「教師信仰」とは無縁に育っているんでしょうね。ま、基本的には、いいことなんでしょう、たぶん。