白黒ハッキリ

 こないだ車の中でラジオ付けたら、精神科医がしゃべっていました。なんでも、心が鬱々として、落ち込みやすい人は、「物事に白黒ハッキリ付けずに、グレーゾーンを多く残して考えるといい」んだそうです。

 ほんとかなあ。僕もご多分に漏れず落ち込みやすい人間ですが、それってどう考えても「物事に白黒ハッキリ付けられない」からですけど。白黒とか善悪とか、そういう風に二分法で考えられればどんなに気が楽か……といつも思っています。「小泉は悪で、彼さえいなくなれば日本はもっと暮らしやすくなる」とか、「あいつは完全に悪だ。オレの仕事がうまくいかないのはあいつのせいだ」とか、あるいは「中韓さえなければ、日本は安泰なのに」とか、世の中に「解答」がある、という考え方のできる人は、ストレスたまんないだろうなあ、と。悪の元凶を自分以外の何者かに転移させることができれば、どんなに気が楽でしょう。

 しかし現実はそうではありません。いくら自分にとって「理解できない悪」であったとしても、ほとんどすべての場合、その「悪」にもきちんとした理屈があって、それなりのシンパがいて、消えることなく存在し続けるものです。で、向こう側からすると、こっちの存在が「悪」であったり。その場合、「どっちの意見が正しい」かを判断する上位の視点(先生?大人?政治家?国連?)は、もはや存在しません。

 精神科医でも何でもない僕が言っても説得力ないですが。