国民的記憶

見るともなしに「ごちそうさん」を見ています。

舞台は戦時下になりましたね。

で、見てると、懐かしさというか既視感というか、そういうのがあるんですよね。

「戦争中、あったあったこういうの」みたいな。「あの時、食糧が手に入らなくて、大変だったよねー」とか。


言うまでもなく、オレは先の戦争、体験していません。

オレだけじゃなく、見てる人たち、そして作っている人たち、演じている人たち、ほとんどは、先の戦争、のみならず、戦争を実体験していません。

にもかかわらず、そしてこのドラマに限らず、戦争のシーンでは、「そうそう、あの時は、こうだったよねー」と、戦争を「懐かしむ」わけです。

これまで、いろんなテレビや映画や本で、戦争が扱われてきた、というのもあるんでしょう。また、教育の影響もあるでしょう。

それにしても、日本人がここまで「あの時、こうだったよねー」みたいな共通の(擬似的)思い出に浸れるイベント、後にも先にも、「先の戦争」しかないんじゃないかと思います。


おしん」ぐらいだったら、まさに「戦争を生きた人々」が視聴者の中心で、「あの時、こうだったよねー」というのが、リアリティを持って語られていたんでしょう。昨年死んだオレのバーチャンも、食い入るように見ていたものでした。

で、もはや戦後生まれがほとんどとなり、戦争ドラマにリアリティなど感じないはずの世代が、なんとなく懐かしさを持って見れるというのが、なんだか面白いと思ったのでした。