あぁ研究室

昨日は、中国の提携校で1年半日本語教師を務めた卒業生の帰国報告会。

入れ違いに、3月に卒業予定のうちのゼミ生が赴任することになっているので、その関係もあって出席。

う〜ん、なかなか興味深い。先日も書いたように、最近いろんな社会の「働くシステム」がどうなっているのかがものすごく気になっているので、たいへん面白かったです。


有名な話ですが、中国の大学には「教員研究室」というものがありません。

教員は、授業の時に学校にきて、直接教室に行き、授業して、終わったら家に帰る。

そもそも、オフィスのようなものが、ないんですよね。自宅がオフィスであり、研究室。全員が日本の非常勤教師のような感じです。


それはそれでいいのかな、個人事業主みたいなもんで、と思っていたのですが、報告した卒業生によると、なかなかたいへんなことが多いんだそうです。

まず、教員同士の連絡が取れない。なにせ授業の時しか学校に来ないので、捕まえるとしたら、その先生の授業のある時間帯に教室に行き、出待ちをするしかない。

ゆえに、「ほうれんそう」がまるでできない。あの先生が今何をどういう風に教えているのか、とかがさっぱりわからない。それぞれが完全に好き勝手に教えている。他の学科ならともかく、日本語学科みたいなとこだと、それなりの情報共有や連携は必要なのに、それがまったくなし。なので、授業をすると、てっきりすでに習っていると思っていたことを教わっていなかったり、逆に「それ、もう他の先生に習いました」といわれたり、ということが頻発。

しかも、情報を共有しようとする意識がまるでない。「これではちょっと…」と思った彼女は講座主任を捕まえて「連絡会みたいなのを、週に1回ぐらいはやった方が…」と提案したら、「う〜ん、気持ちは分かるが、他の先生方、みんなそれぞれ忙しいし…」とやんわり拒否されたんだそうです。実際、先生方は、いくつもの大学で非常勤をしている方が多いのだそう。

個人主義の行き着く先、みたいな感じで、聞いててちょっと薄ら寒くなったのでした。


もちろん日本にも授業と会議以外はほとんど学校に来ない人もいますので(で、それはそれでアリだとは思います)、一概には言えないものの、やっぱ研究室はあらまほしきものなり、と思ったのでした。