批判した手前

こちらを買って、読んでみました。


歴史の交差点に立って

歴史の交差点に立って


彼女の主張はシンプルであり、かつ一貫しています。どうして、人権だの民主だのといった「西洋目線」でしか、中国を見れないのか。「西洋目線」で見れば、中国が「遅れている」のは当たり前だ。見方を変えて、「中国目線」で見てみると、西洋のほうが遅れている点だって、いっぱいある、ともいえるのだ。ある特殊なイデオロギーによって対象を恣意的に断罪することに、どんな意味があるというのだ……


いや、痛烈です。こういうスタンダードな「オリエンタリズム論」を正面から論破するのは、なかなか難しい。思わず、「うんまあそうだよな……」と頷いてしまいそうな。細かい茶々は入れれますよ。「そもそも、オリンピック開催という「西洋の承認」を欲したのは、他でもない中国じゃないか。西洋の土俵にのっておいて、都合の悪い時だけ「西洋目線で見るな」というのは、明らかにダブスタじゃないか」とか、「そうすることによって、「中国特殊論」を自ら作り上げてしまっているじゃないか。それだと「やっぱり分かり合えないことが分かった」という結論にしかならないじゃないか」とか、ね。
でも、そんなのが単なる揚げ足取りに思えてしまうほど、孫歌氏の主張は、本質(の一面)は突いている、のは間違いない。


……いや、本当に分かりません。彼女をどうやって「説得」すればいいのか、あるいはそもそも、「説得」されるべきは、オレたちなのか。
ご教示ください、エラい人。