現実と虚構

週末は立て続けにこれらの本を。


中国低層訪談録―インタビューどん底の世界

中国低層訪談録―インタビューどん底の世界

アフリカ 苦悩する大陸

アフリカ 苦悩する大陸



一見何の脈絡もないチョイスのように見えますが(そして手に取った時は僕も全く何の意図もなかったのですが)、それぞれアメリカ・中国・アフリカの「生の姿」を書いたもの、といえるんじゃないでしょうか。


僕は元々文学という虚構を扱う商売をしていますが、最近、その虚構が面白くなくてですねえ。「生の現実に触れられるなら、別に虚構を読む必要ないじゃん」と考えるようになってきています。文学でいくら「10代の少女の赤裸々な性を描く」とかいっても、『中国低層訪談録』に書かれている「現実」の圧倒的なリアリティに触れてしまうと、なんともつまらんものに思えてくる。所詮作り話だろ、的に。


そうなると『中国低層訪談録』は本当に「現実」なのか、「現実」と「虚構」との境界ってなんだ、みたいな議論になるのは目に見えていて、そしてその議論に意味がない、とも思いませんが、まあしかし、なんですね、法律とか経済やっている人に文学ファンがけっこういるのと同じでしょうか。僕は「仕事以外」で文学を読むことはほとんどありません。


「リアル」「リアリティ」についてはケータイ小説を題材に扱ったこの本。

ケータイ小説は文学か (ちくまプリマー新書)

ケータイ小説は文学か (ちくまプリマー新書)


まあしかし、文学でヘタにリアリティを追求すると「じゃあノンフィクションを読んだ方が……」となってしまうし、なかなか難しいところです。


ちなみに『ドット・コム・ラヴァーズ』、「合コンなんて都市伝説だ」と思っているクチの僕としては、ドキドキしながら読みました。こういう本、もっといろいろ出ないかな。出てるのかな。