どっちもどっち?
怖いもの見たさで、つい読んでしまいました。
- 作者: 姜尚中,小森陽一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/11/01
- メディア: 新書
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う〜んとですねえ……
いや、ヒダリだとかいうのは、お立場の違いだから、いいんですよ。小森先生がやたら「グローバル経済」を批判しているのが、「じゃあ鎖国しろっての?それって小森先生が大嫌いなナショナリズムを強化することになるんじゃない?」という素朴な疑問を湧き起こしますが、まあ些細なことです。
しかし読んでいて一番引っかかったのは、小森先生が、「虚」と「実」なる概念でもって、どうやら「最近の若者批判」をしているらしきところ。
小森 [原宿の明治通りで]編集者と待ち合わせをしていたんです。ところが時間を間違えて一時間ほど原宿で待つことになり、立っていました。そうしたら、やっぱりすごいなと思いましたね。あの「虚」だけで生きている若者たちが共有している感覚がね。おもしろいのは、一時間もいると私が待ちはじめてから駅を降りていった子たちが、買い物をして帰ってくるんですよ。
姜 よく見ているね(笑)。
小森 行きはうれしそうに行っているのに、帰りはモノを買ってきているのに虚脱状態なんです。たぶん何を買ってもうれしくなかったんだな、ということがすごくわかるんです。あそこも虚構の欲望が作り出されている。そのかりそめのお祭り騒ぎの虚しさに、あの子たちも実は気づいているのかなと思いました。(pp.204-205)
う〜ん……
これって、小森先生が忌み嫌うところであろう保守オヤジの説教と、なんだかかぶって見えるのですが……
なんでも小森先生は、1年間で200回もの講演をこなされているらしく、そしてそうした活動は「実」なのである、これからは「虚」ではなく「実」の時代なのだぁ!などと自画自賛されておりますが、これって、「マジメにオレの講演を聞くような子(おじさんおばさん、おじいさんおばあさんもいるでしょうが)はいい子で、ブランド物にうつつを抜かすようなのはダメな子だ」といっている、ってことですよね?違うかしら?
もしそうだとすると、お立場的にそういいたくなるのはわかるとしても、何とも凡庸な「若者批判」に成り下がっておるような気が……
ブランド物に萌える人と、小森先生の講演に萌える人、どっちが上、っていわれてもねえ……どっちもどっち……
結局のところ、保守オヤジもサヨクオヤジも、「今の若者が嫌い、ダメ、根性がなっとらん」という点では、どっちもどっち。もっというと、現状が気に入らない、なんとかしたい、オレの言うとおりにすれば世の中変わるんだ、なんでバカ民衆どもは、オレの言うこと聞いてくれないんだ!ブランド品買いに行く暇があったら、オレの講演聞け!!という点では、どっちもどっち。とかいうと「どっちもどっちとか、メタに立った気になって、そういう態度が一番タチ悪い」と批判されそうですが、までも僕は、一生懸命バイトをして服とかバッグとか買った子たちの笑顔は、別に虚とか言って批判される筋合いの物じゃないと思うし、微笑ましく見てますけどね(←これはこれで偉そう?)。オレだって、小森先生の講演を聞くお金があったら、そのお金で服をk(ry
そもそも、僕が買い物に行くと、若者たちは、「何を買ってもうれしそう」に見えますけどねえ……ってか東大にはそんな「ブランド物に目の色を変える」ようなダメな子はいないんでしょうか。