相変わらずのアポリア

韓国ではここのところ、「戦時作戦統制権を米軍が2009年に返還」(実はこの「返還」という用語でも揉めているのですが)というニュースが政治面の一番の話題です。それに伴い、在韓米軍の戦力も徐々に減らす、という方針です。


日本でも、特に左派メディアはもっとこの「快挙」(なにせ、米軍を「追い出す」わけですから)を報道しても良さそうに思うのですが、どうもスルーしております。


まあそれはわかります。というのも、これに伴って、韓国の軍事費も増加の予定(2020年までに621兆ウォンを投入の予定)、だからです。自分たちの軍備で(のみ)自国を守らなくてはならないわけですから(「自主国防」が盧大統領のスローガン)。しかも、仮想敵国として、盧武鉉大統領は「対日軍事防御論」などという言葉を使って、日本の脅威を騒ぎ立てております。盧大統領は一応左派に入るんだろうし、だからこそ日本の左派メディア・知識人も就任当初からこれを手放しでもてはやしてきたわけですが、内実はこの「統制権問題」を見ても分かるようにきわめてマッチョ、バリバリのナショナリストです。


この問題について、盧大統領にヘタに肩入れするとと、「そうそう、だから日本もアメリカなしでもやっていけるように軍事力をどんどん増強して……」みたいな話を呼び込むことになる。「反米」で連帯したいのは山々だけど、でもそのやり方は首肯できない。だからスルーなんでしょう。


これを解消するには、軍縮のため、とにかく東アジアの各国間で信頼感を醸成し……


いや、そうなんですけどね。それが一番難しいんですよね。