大学のお話。

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いい線突いているようで、でも微妙に違うような。


内田氏は、「昔(の教育)は良かった」→「今はダメ」という、中国の伝統的な思考様式(なんていいましたっけ?)のような考えを持っているようですが、「昔は良かった」も「今はダメ」も、どっちも根拠もないし、実際も違うと思います。

たんに、「昔は(金銭的にも能力的にも)高等教育など受けられなかった層が、今の時代は受けるようになってきた」ということに尽きるでしょう。

まあそれに加えるとしたら、景気の低迷や日本企業社会の変化によって、「大学に行けば良いところに就職できる」というお約束が崩壊して、(2流以下の)大学に行くモチベーションが弱くなったというところでしょうか。モチベーションは弱くなったのに、間口は広くなった(大学数、定員ともに狂ったように増えた)、しかも大学に行かなくてもどうせ就職はない。そんなこんなで「でもしか」大学生が増えた、というのが実際のところでしょう。


なので、別に「子供の学ぶ意欲が衰えた」とは思いません。たんに、「元々学ぶ意欲などない層が大学に入ってきている」というだけでしょう。


そもそも、内田氏のいう「昔」がどの時代を指しているのか分かりませんが、仮に氏の学生時代を指しているのなら、そりゃ時代も階層も違いますよ、というしかありません。日比谷高校→東大という超エリートコース、しかも今のような「大衆教育社会」とは違って、大学進学率などまだまだ低かった時代にあっては、そりゃ周りはみんな「学ぶ意欲に溢れた人たち」だったでしょう、学生も先生も。そんな彼が、超一流とはいえない大学、しかも徐々に偏差値が落ちている(のか?)大学で教えていたら、そりゃ「最近の学生は……」と思うのも無理はありません。


結論をもう一度。子供の質は下がってなどいません。問題は、「学ぶ意欲がなく、また大学に行っても将来にそれほどプラスにはならない層を、それでも大学に行かせるとしたら、そのモチベーションは何か?」ということです。